「○○の方から〜」の多用が耳障りな件

日本語の乱れを語るほど綺麗な日本語を使いこなしているワケじゃないけれど、違和感だらけの誤用が蔓延り、一度気になると耳障りになってしまう。そんな一例が「○○の方」。婉曲が好きなのかとか、へりくだるのかとかいうよりは、誰に対して距離を置いてるんだ?と言いたくなる。

「お会計の方、失礼します」
「お箸の方、お付けしますか?」

「ご注文の方、お決まりでしょうか?」
「お待たせしましたー。牛丼並みの方になります」
牛丼並みになります、だけでも違和感だらけなのに、ここに「方」がつくと一気に鬱陶しさが増す。

ここまでの傾向で、どうやら「物」に対して遠慮がちに言う用法らしいことが想像できる。もっとも、「牛丼並みの方」は、その牛丼を食べるのは僕なのにそんな下から持ってきて「お前に食わしてやんよ」といわれる気がしないでもない。

物でなく、人であっても、「○○の方」の○○に当てはまるのは下の者である場合に用いるように思う。下の者というのは、自分より下のものではなく、客体より下の者。つまり、荷物を届けるという動作であれば、主体は荷物を運ぶ人で、客体は届けてもらう(受け取る)人。誰某の方にやらせるから安心してね、というニュアンスを含むような気がする。

あるいは、「誰が」という主語をはっきりさせたいときに使うことも多分にある。むしろ「主語をハッキリさせたい場合」に使うことが自然な用法だと認識している。
たとえばサザエさん。

ヮヵx「お兄ちゃん、また中島さんと野球?」
ヵッォ「中島の方が誘ったんだよぉ」
SAZA-A「嘘おっしゃい!」

ここでカツオ少年はどっちが言い出しっぺであるかを強調すること、自分ではなく中島ひろしが言い出したから仕方なく従った、という意である。余談ながら、同様のやり取りはマスオさんと穴子さんが飲みに行く場合でもお互いの妻に同じようなものがあるだろう。



偉い人の朝礼の報告が所属の朝礼であったとする。「○○部長の方から××の件で意見がありました」と言われると、貴方は部長より偉いのか、それとも部長が言ったということを強調したいのか、どっちだ?となる。たぶんどっちでもなくて、言った本人はほとんど口癖のようになっているもんだから、部長より偉いとは思っていないだろうし、「部長の意見である」ことは重要な情報ではない。

こういう口癖化したことって、一時になるととことん気になってしまって仕方が無い。中学の社会の先生で「ま」をやたらと挟む方(かた、と読む)がいた。「ま、いわば〜〜で、ま、気圧の話は理科の先生が詳しいので省くけど、ま、この辺りは亜熱帯気候なんやな。ま、それで〜〜」といった具合だ。「まあ」でも良い。恐い先生だったので、寝るわけにもいかず、思いついた授業の暇つぶしは50分の授業で何回「ま」と言うか正の字を書いて数えていくことだった。これだと一言一句を聞き逃すことはなく、集中して聞くから寝ることはない、一石二鳥の暇つぶしであったのは内緒だ。


そんなこんなで話が逸れたけど、最近「○○の方」の多用が気になり過ぎて、僕の気持ちの方がうんざりする方なわけだ。