幼馴染みに子どもがいると知った時

初恋といえるほどのもんでも無いかもしれんが、少なからず気があった気がする人が、会わない十数年の間に結婚して、出産して、しっかり母になっているのを知った。

近所過ぎるほど近所に住んでる同い年。田舎の、小さな保育園に通い、全校生徒80人足らずの小学校に入学し、途中で僕は親の仕事の都合で転校した。僕が転校してから、何回か会ったけれど、中2くらいを最後にふつっと途切れた。
それからそれぞれはお互いの道を歩んだ。僕もそれなりに勉強したし、スポーツは補欠だったけど高3まで続けた。十数年の間に思春期を迎え、人並みに恋もすればフッたりフラれたりもした。もともと高い方だった背もさらに伸びた。でも弟に抜かれた。もともと痩せ形だった体だけはそのままだ。
それぞれの世界で、笑ったり泣いたり怒ったり悲しんだり喜んだりした。

mixiからあれこれ彷徨ううちに辿り着いた。あれほど毛嫌いしていたmixiに感謝せねばなるまい。同じ学校の何人かも元気そうでよかった。
たまに、ふと、あの頃の皆は元気かなぁと思い出すことがある。今でも同じ学年の人は全員名前を憶えている…はず。転校先の小学校ではそんなことないのに。それほど、あの小さな2階建ての、教室が6つしかない小学校の印象はとてつもなく大きい。船で学校から帰ってたときに漂流したり、校庭の向こう側の雑木林に秘密基地を作ったり、落とし穴を掘ったり、その秘密基地で「お楽しみ会」やったり。枇杷を盗み食いして校長室で怒られた。
というようなことが、「元気で暮らしてる」と知った瞬間にありありと、湧き出るように思い出す。

それと同時に、ちょっとだけ、もの寂しい気持ちも否めない。いつの間に大人になったんだろうと。大人にはなりたくなかったけど、いつの間にか子どもじゃなくなったんだなと。
ちびっ子が母になりちびっ子を育てていると知ったとき、十数年の歳月は、長かったのだと思う。

あのころの未来に僕らは立っているのかな。雲のない星空が窓の向こうに続いている。